『イライラを手放す生き方』レビュー・自己嫌悪と完璧主義を手放すために

こんにちは。ヒロタです。
今日の記事は、イライラを解消する方法を探している人には是非読んでみて欲しい本、『イライラを手放す生き方』(水島広子著・さくら舎出版)のレビュー記事です。
この本は、
■しょっちゅう訪れるイライラに支配されていて、
■何とかイライラを解消したいと本を読んだり調べたり、色々試しているにも関わらず、
■イライラを抑えきれずに自己嫌悪。。という悪循環に苦しんでいる
そんなあなたに読んで欲しい一冊です。
対人関係療法の第一人者である精神科医が書いたイライラの本質にせまる一冊
この本の著者、水島広子さんは精神科医です。
精神科医の中でも、『対人関係療法』という精神療法の日本での第一人者と言われる医師です。
『対人関係療法』とは?
人が受ける大半のストレスが人間関係の問題だということに注目。
身近な人(対人関係療法では、『重要な他者』といわれます。親・恋人・配偶者・子供など)と良好な人間関係を作ることに焦点をあてる精神療法。
うつ病や摂食障害、PTSDにも効果があると考えられている。
精神科医が書いた本ですが、専門的な医療用語などの難しい言葉はありません。
この本では、ふだんの暮らしでよく発生するイライラの場面の具体例がたくさん書かれています。
例えば
『急いでいるのに電車が人身事故で停まってしまった』
『食事の時にくちゃくちゃ音を立てる人に対するイライラ』
『子どもの些細なことにイライラする自分にイライラ』
などが例として挙げられています。
そして、その時のイライラの元になっている感情を詳しく掘り下げています。
イライラの『根っこ』にあるものをみつめることで、生き方が変わる
この本の内容は、イライラをコントロールするテクニック的な考え方にとどまりません。
そのことは、この本の「まえがき」の部分からも良くわかると思います。
本書では、現象として起こってくる「イライラ」をどうするか、という表面的な話にとどまらず、そもそもイライラとは何なのか、イライラを根っこから立つにはどうすればいいのか、という「深い話」を一緒に観ていきたいと思います。
すると、イライラをよく理解して根っこからの対応をしていくことが、結果として自分を力強い存在にしていく、という構造が見えてくると思います。
つまり、本書でお話しするレベルのことをよく考えて実践していくことは、単なるイライラ対策にとどまらず、生き方を変えることになるのです。
『イライラを手放す生き方』(水島広子著・さくら舎出版)はじめにより引用
イライラが繰り返し起こる状態、ましてやイライラで自己嫌悪に陥る状態って、かなりストレスフルですよね?
私も子どもを生んでからというもの、何一つ思うように進まない現実にイライラしっぱなしでした。
イライラして子どもにきつく怒って、少し冷静になってから子どもへの申し訳なさで自己嫌悪におちいったことは数えきれないくらいあります。
だから、強いイライラを解消してストレスフルな状態から抜け出すには、表面的な小手先のテクニックだけではダメだなぁ、と実感しています。
私がこの本を買おうと思った理由は、本屋さんで見かけてさらっと立ち読みした時に、今まで読んだイライラ対策本とは一味違った、深い部分まで触れているように感じたからです。
『イライラを手放す生き方』のおすすめポイント
イライラしている自分を含めて肯定する
私が、イライラで自己嫌悪に陥りやすい人に『イライラを手放す生き方』をおすすめしたい第一の理由は、これ。
この本では、イライラをコントロールする時のステップとして、まず必要なのは【イライラしている自分自身を肯定していたわる】こととされています。
イライラした後に自己嫌悪に陥るあなたは、きっと自分にも厳しい人だと思います。
もっと寛大であるべきなのに。。。
これくらいの事でイライラして大人げない。。
そんな風に自分自身を責めているんじゃないでしょうか?
既に自分で自分を責めているのに、さらに追い打ちをかけるように「もっと人間としての器を大きくしないといけない!」なんて書いてある本を読んだり(わたしは少し前にうっかり、読んでしまいました。。)人から言われたりした日には、気持ちのやり場がないつらい気持ちになりますよね。
でも、『まずはイライラするような状況に出くわしてしまった自分を優しくいたわるのが大事』と言われると何だかホッと肩のチカラが緩むような気が、私はしました。
イライラするときには、どうしても「イライラさせるもの(人)」に目が向きがちですが、じつは必要なのは「衝撃を受けて大変な自分」に対するやさしい目。
『イライラを手放す生き方』(水島広子著・さくら舎出版)「第3章イライラしている自分は何者?」より引用
『衝撃を受けて。。。』のところで、衝撃って何?イライラと関係があるの?と思った人もいるかもしれません。
この本では、イライラのもとの一つを衝撃だ、としています。
例えば、当然守るべき(と自分が感じている)マナーをやぶる人に対してイライラしてしまうような状況。
「できるだけ守るべき」ことを平気で破る人を見ると、「なんて非常識なの!」「社会人としてあり得ない!」と衝撃を受けてしまうのです。
「こうあるべき」という自分の思いと、現実が異なる時にイライラが発生しますよね。
そんなときに最初から、
●現実を受け入れましょう
●見方を変えてみましょう
●相手の立場を考えましょう
そんな風に言われても、頭ではわかるけど、イライラが強い時にはそんな風に考えてもイライラは消えない!と私は感じていました。
でも、まず最初に、嫌な気分になってしまった自分自身を肯定するステップを踏むと、そのあと冷静さを取り戻しやすいです。
イライラをやめられない理由がわかる
『イライラを手放す生き方』を読んで、私が良かったと思う理由の二つ目。
それは、イライラを解消したい、イライラしたくないと思っているのにも関わらず、イライラがやめられない理由にせまっているから。
今までに「イライラを何とかしよう」系の本を読んだり手法を学んだりしてきた方も多いと思います。そして、そこで言われていることは理屈としてはわかる、小さいイライラの時は確かに手放せる、でもそれ以上になるとやはりむずかしい、ということが多いのではないでしょうか。
じつはこれは、「イライラを手放すと損をする」という感覚そのものに正面から取り組んでいないからだと思います。
『イライラを手放す生き方』第2章 心の深層にメスを入れる、より引用
私は『イライラを手放すと損をする』という感覚は無かったので、最初は、ん???どういうこと?と思ったんです。
この本を読んでいくと、それは、イライラの始まりである、
【こうあるべきなのに、現実そうなっていない】の部分の、【こうあるべき】が全てのキーワードになってくるとわかりました。
『イライラを手放すと損をする』とは、
本来こうあるべきなのに、そうじゃない現実に直面
↓
だから不快になる=イライラする
↓
イライラを持ち続けていること=本来こうあるべき!という自分の主張を続けている状態
↓
イライラを手放すと、自分の主張まで手放すことになる気がする=イライラさせた出来事(人)に自分の主張を譲るような気がする
↓
こんな心の動きが、『イライラを手放すと損をする』だと解説されています。
こうなると、相手が自分の【べき】に合わせてくれない限り、イライラは手放せないことになりそうですよね。
でも全ての人が自分の【べき】に合わせてくれることなんてありません。
本書では、そこから踏み込んで、『こうあるべき』と『現実』のすりあわせ方についても書かれています。
【こうあるべき】に向き合うと、イライラ解消! さらには。。。
この【べき】は、本当に曲者ですよね。
自分の中に強い【こうあるべき】がたくさんあればある程、イライラする場面が増えることになります。
私自身、【こうあるべき】が極端に強い両親に育てられ、振り返ってみると自分の生きにくさの根っこはそこにあると感じています。
でも反対に言えば、育ちの中で刷り込まれた【こうあるべき】を、今の自分が生きやすい形に変えていけたとしたら。。。かなり生きやすくなるとも言えますよね。
以前から、この【べき】が自分を苦しめているということには気が付いていました。でも、それを手放すのは簡単なことではないんです。
でもこの本を読んでから私は、自分がイライラしていると感じたらこんな風に自分に問いかけてみるようになりました。
そして、その○○するべきは、
●本当にするべきことなのか?
●どうしてもやらないといけないのか?
など、自分の中でどんどん深堀していくんです。
例えば、子どもがお風呂に入る時間なのにまだ遊びたいと言って聞かなくてイライラしたら。
⇒子どもは親の言うことを聞くべき
⇒どうして子どもは親の言うことを聞かないといけないのか?
⇒お風呂に入る時間になったらお風呂に行かないといけない
⇒いま、私が子どもに欲求していることは絶対に必要なこと?
⇒お風呂が遅れると夕飯も寝るのも遅くなる
⇒30分くらい遅れるのは一大事???
⇒【結論】そこまで大したことないかも。。。まぁ。。いっか。
こんな具合です。
読むと、そんなことカッとなっている時に考えられない!と思うかもしれませんが、実際やってみるとけっこう効果的です。
イライラした瞬間に『べきは?』と問いかける習慣さえつけてしまえば。(これは筋トレみたいに訓練が必要と本にも書かれています。。)
『怒りを爆発させる前に6秒待つ』ことがアンガーマネジメントでも勧められていますが、べきのことを考えているだけであっと言う間に6秒は経ちます。
最初に自分をいたわる&肯定を忘れずに
ただし、まず最初に紹介したように、大変な自分を心の中で励ましてから。
私、毎日大変だけどよくやっててえらいよね!
なんなら、家の中だったら声に出していいます。
『もうお母さん、大変!毎日がんばってえらい!』
で、なんで今イライラしてたんだっけ?あ、そうそう。。。。
こんな風にしていくと、そもそも前半でかなり冷静になれます。(不思議なくらいです。やっぱり自分をいたわるって大事!)
『別に私は【べき】なんてないけどイライラするの!』と思う方は、本の中にこんな風にかかれています↓
「べき」がすぐに見つからない人は、イライラする時に頭の中にある「なんで?」から感えるのも一つのやり方です。イライラするときには、「なんでこの人はまわりの状況に鈍感でいられるの?」などという「なんで?」が頭の中にあると思いますが、それはつまり、「人はまわりの状況に敏感でいるべき」という「べき」が問うている質問なのです。
『イライラを手放す生き方』第3章 イライラしている自分は何者?
イライラを解消して自己嫌悪にさよなら~『イライラを手放す生き方』レビューまとめ
ここでは、本に書かれている一部をご紹介しました。
実際は、これ以外にも色々な角度からイライラの心理にアプローチしています。
そして、他人次第のメンタルではなく、自分主導で生きていくための考え方に近づいていくことを目指した内容です。
イライラのもとになっている部分にじっくり向き合って、他人への厳しさも自分への厳しさも上手く手放せたら、生きやすさにもつながりそうです。
是非一度、読んでみてください。
この記事が、イライラを解消して自己嫌悪から抜け出すきっかけになりますように。