ずっと『怒り』を閉じ込めているあなたへ 怒りは必要な感情だ
突然ですが、あなたは『怒り』の感情は、出来ればない方がいい、と思っていませんか?
私は長年そう思い込んできました。
怒ってはいけない。
嫌なことをされても寛大に許すべき。
それが『いい人間』だと思っていたのです。
でも、その考えこそが私を苦しめていました。
もしあなたが、私と同じように『怒り』を感じる自分を許せないでいるのなら、是非最後まで、読み進めて欲しいです。
『怒り』は生きる為に必要な感情
私が『怒り』は生きるために必要な人として自然な感情だ、と知ったのは34歳の時。
カウンセラー養成学校で「交流分析」という心理学を学んだ時のことです。
これが私にとって大きな転機になりました。
自分の人生で起きていたこと、生きづらかった理由が見えてきたのです。
交流分析では、4つの感情を「本物の感情」としています。
- 怒り
- 哀しみ(悲しみ)
- 怖れ(恐れ)
- 喜び(楽しい・嬉しい)
「本物の感情」とは、人間が生まれながらに持っている感情で、「いま、ここ」に起こっている問題を解決したり生きる力になる感情のことです。
そう、『怒り』という一見ネガティブで、私が出来れば感じたくない、感じてはいけないと思い込んでいた感情も、生きる力になる必要なものだったんです。
『怒り』にはどんな役割があるの?
『喜び(楽しい・嬉しい)』の感情が、生きる上でのパワーになるのは、分かりやすいと思います。
それ以外の一見『負』の感情にはどんな意味があるのか?と言うと、交流分析では↓のように考えます。
●怒り~現在の問題を解決するためのパワーになる。命や尊厳を守るもの
●哀しみ(悲しみ)~過去の問題・出来事を乗り越えるためのもの
●怖れ(恐れ)~未来の危機を避けて、身を守るためのもの
どの感情にも意味があって、無い方がいい感情は無いんですね。
身体的に暴力を振るわれた時はもちろんですが、心が傷つく言葉を投げかけられたり、理不尽な対応をされた時は、いわば『身の危険』がある状態です。
その問題から身を守るために、『怒り』を感じるのは自然なこと。
『感じない(ようにする)=身を守れない』ので危険なことなんです。
この4つの感情は、どれもきちんと感じて外に出すことが大事なんですが、特に『怒り』は早く外に出すことが大事だと教わりました。
強い『怒り』の感情を溜め込んでおくのは、とても負担がかかることだからです。
自分の感情をきちんと感じる、外に出すのが大事
「本物の感情」は、きちんと感じて適切に表現すると、その都度消化されて溜まらないんです。
溜め込まないことが心身の健康の為にとても大切です。
私は長い間ずっと、『怒り』を感じないようにして生きていました。
その代わりに、いつも悲しい気持ちでいました。
この『悲しい』は、本物の『悲しみ』の感情とは違います。
本来怒るべきな場面で『怒ってはいけない!』と強く自分を抑えていたので、代わりに感じることを自分に許していた感情、『悲しい』気持ちに浸っていたんです。
私もそうでしたが、怒れない人は自己肯定感が低い人が多い気がします。
意地悪をされた時、本当は怒りたい。
でも、自分を大事な存在と思えていないから、嫌なことをされても仕方ない存在なのかな…と思ってしまう。
だから、怒る代わりに悲しんでしまうんです。
怒りたいのに笑ってしまう、という人もいるかもしれません。
でも、代用として出てきた感情は、いくら外に出しても消化されないんです。
それは、根本にある感情に蓋をしていて、表せていないからです。
怒りをどうやって出したらいいの?
今、『怒り』を感じることに罪悪感がある人は、まずそのブロックを外す必要があります。
まず、『怒り』は自然な感情で、あるのが当たり前だ、と知ることが第一歩です。
今、ここまで読んで、既にそこはクリアされていますよね。
怒っていいのは分った。
でも、外に出すってどうしたらいいの?
怒りたい相手が上司だったり、立場上、直接言えないことももちろんありますよね。
外に出すというのは、必ずしも本人に言うことではないんです。
出すのが必要だと、怒りの対象を怒鳴りつけたり、怒り過ぎることは、問題解決に繋がるどころか、ますます、問題を広げてしまうこともありますよね。
●怒り~現在の問題を解決するためのパワーになる。命や尊厳を守るもの
問題解決に繋がらない『激怒』は、やっぱり「本物の感情=問題解決につながる感情」ではないんです。
冷静に、相手に伝えられるなら、もちろん伝えていいんです。
でも、伝えられない場合でも外に出す方法はあります。
例えば…
- 紙に書きだす
- 一人の時に、口に出して「あの時、私は嫌で怒っていた」と言ってみる
これも、感情を表に出す一つの方法です。
もう『感じる』ことが出来ない場合は?
でも、もういつも抑えていて、感じなくなってしまっている人もいるかもしれません。
それなら、他のネガティブな感情、例えば「悲しみ」や「自責感」、「無力感」を感じた時に、その感情の根っこにある感情は何なのか?考えてみてください。
もちろん、根っこは『怒り』ではないかもしれません。
逆に『怒り』だと思っていた感情の根っこが『悲しみ』や『怖れ』かもしれないです。
いずれにしても、本物の感情を感じることを自分に許して欲しいんです。
自己肯定感が低いと、「やっぱり自分がダメだから、嫌な扱いを受けても仕方ない」と思いがちです。
でも、そんなことはありません。
嫌な扱いを受けて当然な人なんていないんです。
どんな人でも、ひとり一人大事な存在です。
大切にされなくて当たり前な人なんていません。
むしろ、人にひどい態度を取る人自身に問題がある場合も多いのです。
もちろんそうなってしまうまでに、その人も辛い想いをしてきたかもしれません。
その人にも適切なケアが必要です。
でも、それは、あなたのせいではありません。
それは相手の問題であって、あなたが我慢すべきことではないんです。
今まで閉じ込めていた感情を、感じることを自分に許すことで、私自身ずいぶん自己肯定感が回復しました。
最後に
一見ネガティブな『怒り』の感情も、人間に元々備わっている身を守るために必要な感情です。
そして、どんな人にもそれを感じる権利があります。
大切な自分自身を守るためにも、本来の感情を感じることを自分に許して、適切に外に出していきたいですよね。
最後に、ずっと『怒り』を溜め込んでいた人は、感じることを自分に許した途端に、いままでの怒りが溢れ出てくることもあると思います。(私自身がそうでした。)
それを全て怒りの対象にぶつけてしまうと、せっかく感じた問題解決に役立つはずの感情も、マイナスに働いています。
溜め込んだ『怒り』が強いすぎると感じたなら、途中でも書いたように書き出すことをおすすめします。
書いても書いても出てくることもあるかもしれません。
長い時間がかかることもあると思います。
それでも、自分の気持ちに向き合い、外に出すことを続けていけば、今までの苦しみから一歩先に進めるはずです。